体重の問題を、意志の強さの話にしません。医学的に評価して、続けられる方法を一緒に決めます。
これまで内科・循環器科専門のクリニックや大学病院・先進医療機関に在籍し、高血圧・脂質異常症・糖尿病・脂肪性肝疾患(脂肪肝)といった生活習慣病の患者様の診察において、その背景に肥満が深く関わっていることを実感しておりました。
一方で、現在の保険診療の枠組みでは肥満の相談は切り出しにくい、というお声があります。
まだ病気が本格化しない段階で、気軽に医師に相談できる場所が必要だと考え、この度開院に到りました。
減量治療は循環器専門医(高血圧、コレステロールの異常、生活習慣病、心臓・血管の病気)、総合内科専門医が診療を担当します。
医師は内科・循環器科専門のクリニック、大学病院、先進医療機関に在籍しており、日々臨床研鑽に励んでおります。
肥満をまねく理由を、「意志が弱いから」「努力が足りないから」と説明されてきた方は少なくありません。ですが、近年肥満に対する考え方が大きく見直されております。その重要なテーマのひとつが、体重へのスティグマ(偏見・差別)です。
肥満の人の19〜42%が体重を理由に差別を受けた経験があるとされ、偏見は一般社会だけでなく医療者の中にも広く存在します。
「肥満は意志が弱い人の自業自得」という見方は、科学的に誤りです。体重は遺伝的な要因(40〜70%)や、脳が脂肪量を一定に保とうとする仕組みなど、生物学的な力に大きく左右されます。また、肥満は現代社会が作り上げた病気でもあります。現代社会に生きている限り、長年慣れ親しんだ生活習慣を変えることは、そう簡単なことではありません。「食べる」という行為は、人それぞれの心や生活背景に深く根付いているものです。肥満の方が「自分でコントロールできない」ということは、けっして「努力が足りない」だけでは片付けられません。睡眠や勤務時間、まわりの食環境、自分では選べなかった条件がいくつも重なっています。
また、偏見は逆効果です。差別を恐れて受診を避け・遅らせる人が増え、不安やうつ、さらなる過食や運動回避につながり、肥満自体を悪化させるという悪循環が指摘されています。「肥満=本人の責任」という考えを改め、肥満を他の慢性疾患と同じ「科学的根拠に基づいて診断・治療すべき病気」として位置づけることで、偏見をなくし、適切な医療につなげる必要があります。
「臨床的肥満」(Clinical obesity)― 「体重が多い=病気」ではない。本当に治療が必要な人を見分ける新しい考え方
肥満の目安となるBMIは体重計ひとつで測れて便利ですが、筋肉と脂肪を区別できないという弱点があります。そのためBMIが高くても健康な人もいれば、BMIが低くても健康を害している人もいます。BMIはあくまで「ふるい分け」の目安で、それだけで病気と診断するものではありません。[1][3]
元となる論文[3]では、肥満を「脂肪の過剰な蓄積によって、臓器や組織のはたらきが損なわれる慢性の病気」ととらえ直し、腹囲[6][7]や体組成計などで脂肪のたまり過ぎを確認したうえで、臓器の機能低下や日常生活動作の制限があるかを調べます。「体重が重いだけの人」をむやみに病人扱いせず、本当に治療が必要な人へ確実に医療を届けるための工夫です。

GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬は、脳や胃腸にはたらきかけて食欲を抑える効果があります。そのため、肥満症の方に使用することで、体脂肪を減らして体重を落とす効果が期待できます。アメリカ・ヨーロッパ・アジアの各国でも肥満症の治療薬として承認されています(国や地域によって承認状況は異なります)。
参照:日本肥満学会
効果には個人差があります。通常は1か月程度で効果が現れ始め、3か月目には効果を実感できることが多いですが、治療を行っても必ずしも期待どおりの効果が得られるとは限らず、効果が現れない場合もあります。
お薬の使用を中止すると、体重が戻る「リバウンド」が起こることがあります。リバウンドをできるだけ小さくするためには、食事療法・運動療法が重要です。当院での治療がきっかけとなって、食事・運動療法による減量がより積極的に取り組めるようになることを目的としています。
GLP-1製剤を含め、すべての医薬品は「有効性」と「安全性」のバランスの上に成り立っています。副作用の予見には限界があり、現在の医学水準をもってしても、万全の注意を払ってもなお発生する副作用を完全に防ぐことは困難です。
比較的よく見られるのは、上腹部の不快感・便秘・吐き気・下痢などの胃腸症状です。まれに急性膵炎・胆嚢炎・胆管炎・低血糖・イレウス(腸閉塞)・アレルギー反応などの重い症状が起こることがあります。とくに、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛があるときは、そのまま様子を見ずにご連絡ください。
GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬は、胃のはたらきに作用して食欲を抑える一方で、食べ物の消化・排出を遅らせるため、上腹部の不快感・便秘・吐き気・下痢などの副作用が生じることがあります。これらの症状は服用開始時や量を増やしたときに特に起こりやすいため、注意が必要です。多くの場合は時間の経過とともに改善しますが、体調がすぐれないときは遠慮なくご相談ください。
吐き気があるときは、以下の対応が役立つことがあります。
個人差がありますが、注射針による内出血や、注射部位の腫れ・痛み・赤み・かゆみ・つっぱり感・熱感・硬結が生じることがあります。気になる場合は、受診の際に医師またはスタッフへご相談ください。
低血糖
血糖値が正常な範囲よりも下がりすぎた状態です。通常どおり食事を摂っていれば、GLP-1注射薬の単独使用で低血糖になることはほとんどありません。ただし、以下のような症状を感じたら、すぐに糖分を摂取し、速やかに当院へ連絡して指示を受けましょう。
低血糖の症状:冷汗・頭痛・集中力の低下・動悸(どうき)・目のかすみ・めまい・疲労感・不安感・眠気(あくび)・手足のふるえ・空腹感・脈が速くなる・顔面蒼白・けいれん・昏睡(こんすい)
糖分の摂り方
急性膵炎(0.1%未満)、胆嚢炎(頻度不明)、胆管炎(0.1%未満)
持続する激しい腹痛などの異常が認められた場合は、お薬の使用を中止し、速やかに当院へ連絡して指示を受けましょう。
アレルギー反応・アナフィラキシーショック
お薬に対するアレルギー・過敏症が生じる可能性があります。発疹・かゆみ・呼吸の苦しさなど、アレルギーが疑われる症状が出た場合は、速やかに当院へ連絡して指示を受けましょう。
発熱・下痢・吐き気などがあって体調が悪く、食欲がなくて食事ができない状態を「シックデイ」といいます。シックデイのときは血糖値が乱れやすく、まれに急性の合併症を起こすことがあります。治療中にシックデイが続き、脱水が心配される場合は適度な水分を補給し、症状が続く場合には速やかに当院へ連絡して指示を受けましょう。
治療を受けられない方
以下のいずれかに当てはまる方は、安全性の観点から治療をお受けいただけません。問診と診察で確認させていただきます。